病院別ヘルニア手術の治療実績からわかる病院の総合力

腰椎椎間板ヘルニアの闘病記(手術編)です。わたしの実体験を通して、同じ病気で悩んでいる方たちに少しでも参考になればと思って書いています。

前回の記事では、腰椎椎間板ヘルニアの内視鏡手術の技術に長けた医師を探すために、関連する2つの学会が設けている「認定医」を調べることから始めました。

その時の記事はこちら。

人生で初めて入院・手術をすることを決めた管理人が、信頼できる医師、信頼できる病院をどう選んだのか、について書いています。

次にわたしは、内視鏡を用いた椎間板ヘルニアの手術が実際どのくらい行われているのか、病院ごとの手術件数に注目してみることにしました。

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手術件数の重要性を考えてみた

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認定医制度というのは、なんの知識もコネもないわたしにとって、信頼できる医師を探すひとつの基準として、とても便利な制度でした。

でも、2つの学会の認定医を両方持つ医師は決して多くはありません。

全国にいるわたしと同じ症状に悩む患者さんが、その認定医の手術を受けようと殺到するのは容易に想像できます。

かといって、認定医の医師も1日に手術できる人数には当然限りがあることでしょう。

そうなると、特定の認定医の手術を受けるには、何ヶ月、時には何年も待たなければならないこともあるかもしれません。

もちろん、自分の手術の順番が巡ってくるまで待てる余裕があればいいのですが、

  • 1日でも早くこの痛みから開放されたい
  • 金銭的な面からも、早く社会復帰して働きたい

と考えている患者にとって、手術を何ヶ月も待つことは、それこそ地獄の日々をさらに続けるようなものですし、働くことができず収入の手段を失うことは、死活問題にもつながりかねません。

手術をすることを決断したわたしも、これからさらに何ヶ月も待つという、心のゆとりも、精神的な強さも、もう残っていませんでした。

そこで、こう考えることにしたんです。

認定医の在席している病院で、かつ多くの手術実績がある病院であれば、熟練した他の医師やスタッフが揃っているに違いないと。

認定医のいる病院であれば、同じ病院で働く医師同士の横のつながりもあるでしょうし、認定医ではなかったとしても、数多くの手術を手掛けることで、より多くの経験値を得ていることでしょう。

手術は医師の技術だけでなく、看護師をはじめとする、多くの医療関係スタッフの皆さんのマンパワーによって支えられている部分もあるはずです。

認定医の数が限られている以上、認定医だけに固執するのではなく、手術件数という、病院の実績、総合力にも注目するべきではないかと考えました。

手術件数はどうやって調べるか?

病院の実績となる手術件数を調べるにはどうしたらいいのでしょうか?

最近は、手術件数などの実績データをweb上に公開している病院が増えてきていますので、各病院のホームページを見ればたいていの情報は得ることができます。

また2002年(平成14年度)から、診断群分類(DPC)包括評価制度というものが始まり、この制度を導入している病院は、入院患者ごとに「診断名」「治療方法」「入院日数」などの情報を厚生労働省に提供しています。

そのため、厚生労働省は全国のDPC対象病院について、手術件数などの情報をホームページ上で公開しているんです。

参考平成27年度第7回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会

椎間板変性・ヘルニア治療における治療は、DPCコード「070350」が該当します。厚生労働省のHPにある、疾病別手術別集計データ(MCD07-1)を参照ください。

DPC対象病院とは?

DPCとは「Diagnosis(診断)Procedure(診療行為)Combination(組み合わせ)」の略で、DPC対象病院とは、新しい定額払いの会計システムに対応した病院のことを指すそうです。

これまでの入院1日あたりの医療費は、「出来高払い方式」という、診療行為ごとに積み立てて計算していました。

一方、DPC対象病院では、入院患者の病名や症状をもとに、手術の有無や合併症の有無であったり、医療処置の状況、重症度などに応じて、厚生労働省が定めた1日当たりの診断群分類点数という基準をもとに1日あたりの入院医療費を計算する、いわば新しい「定額払い」の会計方式を指しています。

この新しい会計システムに対応する病院は増え続けており(2014年時点では全一般病床の約55%)、このシステムのもとで行われた、病院ごとの手術件数などのデータは、厚生労働省のホームページから誰でも見ることができるんです。

逆を言えば、DPC制度を導入していない病院や、健康保険が適用されない手術などのデータは含まれていないため、その場合は病院自体がホームページなどで公開している手術件数などのデータを直接調べる必要があります。

ヘルニア治療実績全国ランキング・トップ15

2014年度(平成26年度)における、病院別椎間板変性、ヘルニアの治療実績のトップ15を、病院検索サイト「Caloo」で調べると、以下のとおりとなっていました。

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参考病院検索サイト Caloo

表中の赤い四角で囲った手術実績数が、「(01)内視鏡下椎間板摘出(切除)術」となります。

病院検索サイト「Caloo」では、厚生労働省の公開しているDPC対象病院のデータをもとに、よりわかりやすくWeb上で情報を見たり、調べたりすることができます。

2014年度の全国183の病院施設別ランキングは以下のリンクからご覧いただけます。

全国の椎間板変性、ヘルニアの治療実績・手術件数を、DPCに基づく数値で検索できます。全国のDPC対象病院から、椎間板変性、ヘルニアの手術の種類ごとの治療件数を調べられます。

認定医のいる病院が必ずしも手術件数が多いとは限らない事実

Calooで表示されるデータは、ヘルニアの治療実績数でランキングされているため、内視鏡手術のほか、「その他手術」や「手術なし」のデータも含まれたランキングとなっているので注意が必要です。

そのため、厚生労働省の公開しているデータをもとに、内視鏡手術の実施件数だけを抽出してランキングを作成してみました。

No. 地域 病院名 手術件数
1 東京都 医療法人財団 岩井医療財団 岩井整形外科内科病院 662
2 大阪府 医療法人永広会 島田病院 320
3 新潟県 新潟中央病院 181
4 愛知県 医療法人蜂友会 はちや整形外科病院 174
5 神奈川県 日本鋼管病院 155
6 福岡県 北九州市立医療センター 116
7 長崎県 長崎労災病院 108
8 富山県 医療法人社団整志会 沢田記念高岡整志会病院 104
9 香川県 高松赤十字病院 102
10 岡山県 独立行政法人国立病院機構 岡山医療センター 99
11 北海道 特定医療法人 朋仁会 整形外科 北新病院 89
12 兵庫県 あんしん病院 87
13 大阪府 医療法人大植会 葛城病院 83
14 徳島県 医療法人倚山会田岡病院 83
15 大阪府 社会福祉法人恩賜財団済生会支部 大阪府済生会茨木病院 83

ランキング表を作ってわかったことは、

認定医のいる病院が必ずしも手術件数が多いとは限らない

という事実でした。

認定医のいる病院に患者が殺到することで、病院全体の手術件数もきっと多いのだろうと想像していたのですが、実際はそうではなかったわけです。

ただ、このランキングデータはDPC対象病院におけるデータであるため、国内にあるすべての病院のデータではありません。

ですので、参考程度に見る必要があるかもしれませんね。

ただ、認定医のいる病院で、なおかつ病院の手術件数もランキング上位に位置する病院もあります。

そういった病院はまさに、専門医を抱え、多くの手術を手掛けている、総合力のある病院ではないかとわたしは考えました。

実際にそういった病院のホームページを見てみると、一般的な整形外科病院のホームページよりも、より腰痛治療やヘルニア手術に力を入れていることもわかりました。

まとめ

今回いろいろ調べてみて、認定医のいる病院が、手術件数においても必ずしも上位に位置するわけではない、ということがわかりました。

認定医一人ひとりのマンパワーにはどうしても限りがあるのでしょう。

不安な手術を、少しでも技術と経験のある医師にやってもらいたい、という気持ちは誰にでもありますが、認定医だけに固執するのではなく、病院の総合力にも目を向けて病院選びをするべきだと、あらためて感じました。

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