数ある映画作品の中でも不朽の名作の一つでもある『ブレードランナー』。
その続編『ブレードランナー2049』が2017年10月27日より公開されたので早速観てきました。
前作が公開されたのは1982年(昭和52年)。なんと!35年も前の作品なんですね。
公開された当時はまったくヒットせず、興行収入的には大失敗だったらしいのですが、その後じわじわと話題になり、いつしか不朽の名作の一つと言われるようになった一風変わった作品でもあるんです。
興行的に大失敗だった理由は、単純に「内容がわかりにくい」とか、「主人公に感情移入しにくい」とか、いろいろ言われていたので、今回の作品も若干心配だったんです。
でも実際に鑑賞してみたら、映画素人のわたしでも十分に楽しめる素晴らしい作品でした。
ただ、映画を観終わったあと、「あれはどういう意味だったんだろう?」と思うシーンもあったのは事実。いろいろ気になったところとか、わからなかったところを公式パンフレットやネットで調べるうちに
これを知ってたら、もっとわかりやすかったのに~!
と思えることがあったんです。
だから、この映画を観ようか迷っている方、これから観ようとしている方に、『ブレードランナー2049』の鑑賞前にぜったいチェックしておいて欲しい3作品をご紹介しておきます。
そもそもどうして有名なの?
いまから35年も前の1982年に公開された映画『ブレードランナー』。
冒頭でも興行収入的には大失敗の作品だったと書きましたが、映画ファンで知らない人はいないというほどの名作中の名作です。
そんな当時大ゴケした作品がどうしてこんなにも有名なのか?
それは、
- その後の映画作品に大きな影響を与えたこと
- 人間とは何か?という哲学的な意味を含んだ作品であること
でしょう。
映画が公開された当時(1982年)に、37年も先(2019年)の未来のロサンゼルスを描いた作品だったわけですが、それまでのSF映画で描かれる未来の世界って、わかりやすく例えるなら、ディズニー映画『トゥモローランド(Tommorow Land):2015年公開』の世界観そのもの。
きれいな高層ビルが立ち並び、タイヤのない車が空を飛び・・・まさに
『文明がますます進んだ未来は当然明るいんだ!』
と言わんばかりに描かれていたんですよね。
いっぽう、ブレードランナーで描かれた未来は、その真逆も真逆!大気汚染が進み、酸性雨が降り注ぐ、暗い未来だったんです。
ブレードランナーで描かれた未来の都市には、高層ビルもありますが、雑居ビルの立ち並ぶスラム街と隣合わせの街。
ビルの外壁にはエアコンの室外機がむき出しのまま設置されいて、建物の美観なんてまったく無視。まさにいまの新宿歌舞伎町のようなカオスな世界なんですよ。
その後の多くの映画作品で描かれた未来は、まさにブレードランナーの世界観を模したようなものが多かったことからも、この映画がのちの作品に与えたインパクトがいかに大きかったかを物語っているんでしょうね。
もちろん、映像的な面だけじゃありません。
本作品がカルト的な人気を誇っているのも、
『人間とは何か?人間を人間足らしめているものは何なのか?』
といった、哲学的な意味も含んだ作品であることでしょう。
「自分はどうして自分であって、他人ではないのか?」「自分は本当に生きているのか?この世に存在しているのか?」なんて考えたこと、あなたも一度くらいはありますよね?
映画『ブレードランナー』には、人間と人造人間(レプリカント)が登場しますが、人間とは何か?を深く考えさせられる映画でもあるんです。
多くの映画作品に影響を与えた不朽の名作『ブレードランナー』をまだ一度も観たことのない方は、こちらをどうぞ。
『ブレードランナー2049』鑑賞前にぜったいみておくべき3つの作品
難解な映画と言われた『ブレードランナー』の続編でもある今作品ですから、老若男女、誰もが一度目で単純に楽しめる映画でないことは事実でしょう。
続編というからには、前作を事前にチェックして観ておくのは必須です。
前作が難解な映画だったとの批評が多いことからも、
- 映画通なオタクしか楽しめない難しい映画なんじゃないの?
- わたしなんかにほんとに理解できるのかなぁ・・・
なんて思って観るのを敬遠している方もいるかもしれません。
でも、心配は入りません!
映画の鑑賞前に以下のポイントさえ押さえておけば、映画通のオタクでなくたって十分ストーリーを理解できるし、登場人物たちにぐっと感情移入できるんです。
前作の時代設定(2019年)と今作の時代設定(2049年)のあいだの30年間に世界で何が起こり、世界がどう変わったのか?
これを映画の鑑賞前にチェックしておくか、おかないかで、映画の途中で頭の中が「??」状態のまま、エンディングを迎えずに済む、というわけです。
話の流れやつながり、登場人物の人間関係などの整理に思考をとらわれることなく、映画のストーリーにより集中できれば、主人公や他の登場人物の心理描写まで深~く推し量ることもでき、感情移入もしやすくなり、作品を十分楽しむことができるんです。
2019年から2049年までに起こった出来事とは?
前作の30年後の世界を描いた本作品。単に30年後のストーリーだと思って観てしまっては作品を深く理解できず、もったいない!
この30年のあいだに世界に何が起こり、世界はどう変わったのか?
を知っておくことがポイント。
映画素人のわたしは、それを知らずに本作品を観てしまいました。(^_^;)
だって、映画のテレビCMでも、そんなことひと言も宣伝してなかったし・・・。
もしこのことを知っていたら、映画を観ているあいだも頭に「?」が浮かぶことなく、よりスムーズに観れたのかもしれません。
だからこそ、これから『ブレードランナー2049』を観る方にはぜひ押さえておいて欲しいポイントなんです。
前作と今作のあいだの30年間に起こった主な出来事を知るには・・・
たったこれだけ。
その動画とは、
- 2022:ブラックアウト(約15分)
- 2036:ネクサス・ドーン(約8分)
- 2048:ノーウェア・トゥ・ラン(約7分)
この3つの作品なんです。
前作『ブレードランナー』をチェックしたあと、今回の『ブレードランナー2049』を観るまえに、これらの動画も事前にチェックしておくことで、スムーズに映画のストーリーに入っていくことができるでしょう。
これらの動画を観ない理由なんて・・・ありませんよね。
以下に3作品をご紹介しましょう。
ブレードランナー ブラックアウト 2022
3作品の中でも唯一のアニメで描かれた作品です。
2022年にロサンゼルスで起きた大停電事件「ブラックアウト」。この事件によって世界は一変します。
この時代の人間とレプリカント(人造人間)の社会的地位の違いに注目してみるといいでしょう。
アメリカ西海岸で原因不明の大停電が起こり、街は数週間にわたり閉鎖。アメリカ国内の電子データはほとんど破壊される。財政や市場は全世界的に停止し、食物の供給は切迫。世の大半がそれをレプリカントの仕業であると非難したことで、レプリカントの製造を禁止する法令が出されるようになった。
出典:ブレードランナー2049 公式パンフレット
2036:ネクサス・ドーン
人間至上主義が支配する時代。2022年に起こったブラックアウト事件によって世界は荒廃し、食料危機にさらされた人類は衰退しつつありました。
そこに禁止されたはずのレプリカント製造に手を染めたウォレス社の最高責任者が議会に現れ、レプリカント製造禁止法の廃止を訴えます。
彼は人類の救世主なのか?それとも、自らが神になりたいだけの利己的な人間なのか・・・。はたして彼の正体は?
レプリカント禁止法が廃止となる。ウォレスは新型のレプリカント、ネクサス9型を発表する。
出典:ブレードランナー2049 公式パンフレット
2048:ノーウェア・トゥ・ラン
人間に忠実で、寿命もコントロールできる新型レプリカントのネクサス9型に対し、旧式であるネクサス8型は人間にとって脅威となる存在としてブレードランナーによって排除される立場にありました。
2022年のブラックアウト事件によって、彼らの素性を示すデータは消失したため、排除を逃れた者たちは密かに身を隠していたのですが・・・。
“ビビのバー”の活気ある市場に出向くサッパー・モートンは、ネクサス8型のレプリカントである。枯渇した世界で唯一のタンパク源となる線形動物を養殖している。彼はトラブルを避け、自分自身に注意を向けられないように訓練している。しかし、ビビのバーでトラブルに巻き込まれ、ブレードランナーの捜査対象となる。
出典:ブレードランナー2049 公式パンフレット
この短編作品の続きが、映画『ブレードランナー2049』へとキレイにつながっていきますので、映画の冒頭シーンをご覧になれば、
あぁ、この続きかぁ・・・
と、スムーズに映画のストーリーに入っていくことができることでしょう。
まとめ
映画『ブレードランナー2049』をこれから観る方に、本作品をよりスムーズに理解できるよう、事前にチェックしておくべき3作品のご紹介をしました。
本作品を公開前から待ちわびていた映画ファンにとっては、youtubeに公開されている3作品は知ってて当然のことなのかもしれませんが、なんせ前作は35年も前に公開されたもの。映画『ブレードランナー』すら知らなかった、という方も結構いらっしゃるかもしれません。
今作を観るにあたって、前作はチェックしても、わたしのようにyoutubeに公開された動画を見逃したまま映画館に行かれる方もいらっしゃることでしょう。
ネタバレになっては作品を楽しめないと、あえてインターネットで情報をチェックせずに映画館に足を運ぶような方であれば、なおさら見逃してしまうでしょうから、本記事を偶然ご覧になった方はぜひともこれら3作品をチェックしたうえで、『ブレードランナー2049』を存分に楽しんでいただけたら嬉しいですね。